
qimono / Pixabay
一部の芸能人やインスタグラマーの投稿により人気が出たものの、医学的裏付け(エビデンス)が満足にないことから現在炎上している血液クレンジング。
以前の水素水をめぐる騒動を思い起こさせる炎上ですが、無益無害であるとされた水素水とは違い、感染症のリスクを孕む血液クレンジングは危険だという指摘が相次いでいます。
今回は、そんな血液クレンジングの実態と効果について調べてみました。
血液クレンジングとは?その根拠は?
血液クレンジングは”静脈から採った黒っぽい血”をオゾンなどで処理し、戻すことで病気や老化予防になると喧伝されているアンチエイジングです。処理した血液が鮮やかな赤色に変わるのが目に見えてわかることから視覚的にわかりやすく、インスタグラムを中心に宣伝されています。
赤くなることを効果の現れだとする投稿や宣伝がされる一方、血液中で酸素を運ぶ赤血球に含まれるヘモグロビンは元々酸素を含むと赤くなる性質があることが義務教育の理科の範囲内で教えられており、そのことから多くの”詐欺ではないか”というツッコミが入りました。
一応血液のオゾン処理は完全に医学とは無縁の療法ではなく、ヨーロッパでは保険適用として一部疾患の治療に使われているようです。しかし、その一方でアンチエイジング効果については(少なくとも私が調べた中では)高齢者を対象とした実験で細胞内ATP産生量が上がったことのみを根拠として示すクリニックが多いようです。
ATPが何かというのは話が長くなるため置いておくとして、ATP産生量は加齢とともに大きく落ち込むものです。大きく下がったものを改善することと、すでに高いものをさらに高くすることは大きく違いますよね。(栄養がすでに足りている子供に、更に栄養を与えたところで成長効果はないようなものだといえばわかりやすいでしょうか……)
更に言うのであれば、ATPが欠乏している人へのATP合成については、コエンザイムQ10といった危険性のない既存栄養剤でも効果が確認されています。
また、血液の抗酸化力を上げるとされていますが、その効果はビタミンやポリフェノールなど、危険無く食べ物や栄養剤で摂取できる栄養にも期待できることです。
総じて、若い世代に効果がある可能性がないとは言い切れないものの、下記のリスクがある以上慎重にならなければならないものだと私は考えます。
血液クレンジングに潜むリスクとは?

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一方、炎上の一因となった血液クレンジングの感染症リスクについても調べてみました。
通常、滅菌状態で行われるため注射・点滴に危険はありませんが、注射針の再利用や血液採取後のコンタミ(血液への物質や菌の混入)といったミスは必ずしもないとは言い切れず、それらのミスは肝炎などの重篤な病に繋がりかねません。(リンク先は医療従事者が自分に挿してしまった場合のものですが、再利用の際に想定されるものは類似かと思います)
実際、韓国では大規模な感染事例が近年でも起こっており、治療目的以外の注射針はなるべく控えるべきと考えられます。
まとめ
水素水ほど無根拠とは言えず、しかしその一方で根拠が明確ではない上にリスクが有ることから安易に人に勧められるものではないと結論づけたいと思います。
文中でも述べたとおり、無リスクで喧伝されている効果と類似の効果があるとされるものは市販されています。ちょっとアフィリエイト臭くなるのでアレですが、血液クレンジングが一般的に1万円以上かかるのに対して、下のリンクにあるように、同様の効果があるとされる栄養剤は非常に安価で購入できます。
まずはこういったものを試してみてから、それでも足らないと感じた人だけリスクとエビデンス不足を覚悟の上で受けに行ったら良いのではないでしょうか。
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