8章1節でクズキュアの白い方が大騒動を引き起こしましたが、彼が出てくると必ず引き合いに出されるのが通称クズキュアの黒い方、デカラビア。
どちらも他メギド不在のキャラストでの悪行から大人しくアジトでソロモンの仲間をやっていることが非常に不気味な存在としてセットで語られますが、今回、キャラストの内容から2大パブリック・エネミー対立説が持ち上がり、話題になっています。
火がついたきっかけは恐らくこの方のツイート。
これデカラビアのキャラストの話なんですけど…
アイツが支配した街には「教会」があってアイツそこに爆弾仕掛けてたんだよ…
ところでヴァイガルドにはキリスト教とか一般的に知られてる宗教がある描写ないんだよね……あの教会って「何の宗教」の教会だったのかな…? pic.twitter.com/Zm4CyA0Skd
— メメント・モリカドル (@4649N_a_dd) May 1, 2020
フォルネウスは持っていないものの、デカラビアはいるのでキャラストで改めて確認してみたのですが、宗教が一般的ではないヴァイガルドにおいてガッツリ「教会」が存在しています。
さらに言えば、カトルス教という思想に対しこの街でデカラビアが使ったのは「洗脳薬」でした。
状況だけ見ると明らかに対立しているのですが、一点疑問を挙げるとすれば「何故対立しているか」。
デカラビアはヴァイガルドを守ってやろうという殊勝な考えなんてさらっさらに無いわけで。
軍団に協力しているのも、ハルマゲドンというデカラビアにとって美学のない滅び(恐らくはハルマとメギドという外部要因による死で自滅ではない点を指す)であるから邪魔してやろう位のものである。
メギド由来の思想による破滅とはいえ、フォルネウスが起こしている事件はヴィータが自分でやっていることなのでデカラビアが見たい破滅と対立しないはず。
じゃあもし対立しているとして、何故?と考えたときに思いついた説があったのでそこに至るまでも含めてまとめます。
まずはフォルネウスVSデカラビア対立説の検証から
この世界において宗教は一般的ではないため教会がある街はおかしいという根拠からおさらい。
以下は75話の会話より抜粋。
不死者を除くと35歳と追放メギドの中でも長くヴァイガルドで生き、領主として高等教育を受けているであろうグレモリーや、年齢こそ若くても司書として働き、常に本を読んでいるアンドロマリウスが揃いも揃って「教団」「宗教」の概念を知りません。
また、あの場にいた行商護衛でヴァイガルド中を移動しているグラシャラボラスや、真メギドとはいえ作家としてヴァイガルド文化に詳しいフルーレティまでピンときていないようです。
特筆すべきは、追放前からの歴史家かつ民俗学者として、時代を問わず両世界の文化について詳しいはずのフォラスも(広まるタイプの)宗教について初めて知った概念のようでした。
この世界で宗教は一般的ではない……どころか歴史上も存在していなかった可能性が高いです。
(なお、アガレスイベのは宗教というよりも経験則からできた土着の慣習=独特な共同体と思われます)
この初出設定により、デカラビアが破壊したという「教会」がいよいよ不気味なものとなってきます。
ほぼ確実にカトルス教であると考えて良さそうです。
なぜ対立しているか
時系列について
対立している理由が疑問点と冒頭で述べましたが、それについて気になった点を話すためにまず前提としておいておきたいのがキャラストの時系列について。
8章の段階でカトルス教はまだ孤立した村や街を滅ぼすにとどまり、王宮のある大都市に進出し始めた段階と考えられます。
これまで過去の出来事と考えられてきたデカラビアキャラストは、8章1節からみて未来の時系列と見て間違いないでしょう。
また、この時系列の明確化によりキャラスト冒頭でヴァイガルド中にメギド名で指名手配されているはずのデカラビアが軍団の相談役として一定の信頼を寄せられている理由についても説明がつきました。
単純に1節の段階では「まだ」指名手配されていないからです。
(現在ではなく未来としたのは、1節の段階でシバの王宮にも領主達にも通達が来ていないため)
対立の要因
前置きが長くなりましたが、いよいよ本題。
キャラスト冒頭でデカラビアは指名手配の要因として以下を挙げられていました。
しかし、グレモリーの証言から滅びた村はすべて共通項がある=同一犯の意図のものと考えられます。
「たまたま」カトルス教と同じタイミングかつ同じ条件で村を滅ぼしたのでなければ、このタイミングで事件を起こしたのはカトルス教=フォルネウスです。(ほぼ確実)
また、生まれる前に母親が影響されて元々と同じ名前を付けられたマルチネやザガン、幼少時に自分の元の名前を話したことで同じ名前となったモラクスのような限られた例外以外の追放メギドは軍団外ではヴィータ名で通っています。
逆に(何のイベで言っていたか忘れましたが)軍団内では基本的にメギド名を名乗ることが通例化しており、ほとんどのメギドはお互いのヴィータ名を知りません。
メギド名で指名手配されたことから、この事件とデカラビアを結びつけたのは内部犯=フォルネウスと考えられます。理由はメギドラルでの前科持ちで簡単に信じられそうだからでしょうか。
あるいは……フォルネウスは一般的な良識自体は持っており、ただ、死は救済と考えているタイプです。
自分への疑いがかからないようにしつつ、アジトを拠点に何らかの悪巧みの準備をしていたデカラビアを妨害するために……という線もあるかもしれません。
デカラビアはあの街で何をやっていたのか
デカラビアが街でやったことは時計塔→教会→王宮の順で爆弾を仕掛けるとともに水源に洗脳薬をまいたことです。
キャラストでは爆破に混乱しながらも対処する兵士をメインに描かれているので勘違いしそうになりますが、デカラビアが爆弾を仕掛けたのは陽動であり、本命は洗脳薬を感知されずに蔓延させることでした。
いいですか、本命は洗脳薬かつそれを街全体に行き渡らせることです。
しかしこれ、よく考えるとデカラビアの行動原理的にちょっとおかしかったんですよ。
- 破滅が見たいのであれば、毒薬でいい。(毒は得意)
- 手駒にしたいのであっても、完全に行き渡らせなくても可能。(この場合、洗脳者とそれ以外の内乱もみられる)
爆弾に気を取られて愚かにも薬に堕ちてしまったという筋書きを見たかったと考えればまぁ、理解できなくもないんですが。
自分を犯人に仕立て上げたフォルネウスに対し、教会によって思想が広まりつつある街を再洗脳して、その間にカトラス教に堕ちた国を襲わせる算段と考えれば辻褄は合います。

おまけ:デカラビアのキャラ性を捉え間違えているかもしれない説
デカラビアは言葉によって人を惑わせるメギドであることから、キャラスト内の兵士との会話は多くの嘘が含まれている可能性があります。
現状信用できるのはプロフィールとアジト内会話、洗脳が終わって語りかける先のない独り言のみです。
兵士との会話を排除した上で見ると、別の姿が浮かび上がってくる。

ヴィータの破滅は見たいが、それは死ではない
- ヴィータたちを救うのは、なかなか立派な行動だ 恩を売って損はない…(アジト内会話)
- ハルマゲドンに怯えるヴィータに助言して、その混乱を収めてしまう(プロフィール)
- 洗脳しただけで殺してはおらず、爆弾も結果として教会以外の被害は最小限
支配者になりたいという野望はあるものの、滅ぼすようなことは考えていないように思います。
……滅ぼしたら支配者になれないですし。
さらに言えば追放前も二分する騒動を起こして混乱に陥れたとはあるものの、その内容や結果は不明であり、多くのメギドが死んだとかそういう事態でもない可能性もあります。
もしそんなことしていたら他のメギドに警戒されるはずです。
もし暗躍していたとしても少なくとも上位メギドには警戒されて然るべきかと思います。
アジトとは気が利いている ククク…やはり悪には、その拠点が必要なのだ |
フッ、良い服だろう? 支配者たるもの…おまえも服装に こだわってみたらどうだ |
なんか段々、実行する力があるだけの悪ぶっている中二病な気もしてきた……。
