近年、以前にも増してTwitter上で過激な政治ツイートが増えてきたように感じます。
その一因はSNS上でフォローする・フォローされるの関係からクラスタと呼ばれるお互いに近い意見を持つ集団が自然と形成されることにあります。
ツイッターである程度フォローしたりフォローされたりしているのであれば、あなたも知らず知らずのうちに属していることもあり得ます。
今回はこのクラスタについて、どのような意味なのかや使い方、クラスタに属することによって起きることについてまとめました。
クラスタとは?
英語で集団や生物の群れなどを表す言葉であるクラスター(cluster)から派生した言葉で、コロナ騒動で頻繁に耳にした「クラスター感染」のクラスターと元の意味は同じものです。
集団という意味から転じて、インターネット上(主にツイッターや5ch)では同じような考えや趣味、思想を持つ人達のことを指すようになりました。
また、Twitterが持つユーザー同士が拡散し合うという特徴からいつも同一の話題をフォロー・フォロワー間でつぶやいたり、リツイートし合うようなユーザーを総称する言葉として使われています。
例としては「政治クラスタ」「鉄道クラスタ」などが挙げられます。
また、同じ意味として使われる言葉として「界隈」というものもあります。
クラスタはどのように形作られるのか
例えば鉄道クラスタなどの趣味でつながる集団であれば、リツイートで回ってきたツイートにいいねを押すついでにフォローしたり、共通の趣味でつながるためのハッシュタグを使ってフォローし合う事が多いでしょう。
政治などのクラスタも、自分が共感する投稿をしているユーザーをフォローするという流れは同じです。
一方で意識しないうちに自分自身がクラスタの端っこに入ってしまっている場合もあります。
例えば、(一概には言えないものの)韓流オタクは政治的に左寄りな人が多いといわれます。
中道~右では国同士の対立が年々高まっているので、ある意味当然でしょう。
(逆パターンとしてはミリタリーオタクが挙げられるかも知れません)
クラスタは一部が兼ねている場合もあるので、政治的な意図は特になくても一見無関係な趣味のつながりからそうしたクラスタに自分が組み込まれることもあるということです。
クラスタが持つ外部への影響力
Twitterのトレンドは多くの人が今話題にしているワードをピックアップしてくれる機能ですが、度々世間では話題にすら上がっていないような思いもよらない言葉が入ってくることがあります。
こういったときは大抵、診断メーカーが流行したか特定のクラスタで特定のワードが話題に上がったかのどちらかです。
クラスタ内ではお互いのフォロワーが頻繁にかぶるため、世間の流れとは無関係に特定の話題についてのツイートを何度も見る→周りがつぶやいているのをみて見た人もつぶやくといった連鎖が起こります。
図にするとすれば、こんな感じです。
アカウントを円、フォローの関係を線で置いています。
クラスタは一般的なつながり(例えば友人同士でフォローしあっているようなアカウント)と比べて非常に密にフォロー関係が繋がっています。
その結果、話題が伝播する速度が早くなります。
トレンドは普段よくつぶやかれているワードは余程ツイート数が増えない限りは無視し、急に話題になったワードを優先して表示するのでクラスタで話題になったもののほうが入りやすくなるという理屈です。
こうしてトレンドに入れば多くの人が目にするようになるため、実態よりもより多くの人がその話題について興味があり、つぶやいているような印象を持つようになります。
政治について話題にする人がそれほど多くないのにも関わらず最新ニュースでもない政治系ツイートが頻繁にトレンドに入ってくるのは、政治系アカウントによるクラスタが特に密であるからだとも言えるでしょう。
なお、クラスタに関係なく話題になった場合は話題になってからそれぞれが呟くまでにタイムラグがあるため、最終的につぶやかれた総数が同じでもトレンドに入りにくい傾向にあります。
クラスタが持つ内部への影響力
ここで一つ、クラスタ内にどっぷりと浸かっているユーザーを想像してみます。
クラスタ内の人のタイムラインでは、実際の世間とは無関係に一つの話題が1日の中心となります。
しかし、主観的にはそれが世間で話題になっていることのように見えてしまうのは確かでしょう。
また、同じ話題(それも大概同じ方向性の意見)に埋め尽くされるため、意識的にも無意識的にも同調圧力を受けることになります。
元々そこまで偏った考え方でなくても、自然と集団の考えに自分も染まっていくことになりかねません。
この時、自分でフォローした以上少なからず近い考えを持つ同士だと思うので染まる……まではまだ問題ないかも知れません。
問題はココからです。
ツイッターでも2chでもそうなんだけど、多くの人は内面の規範に照らして「言っていいこと/悪いこと」を判断してない。場の空気を読んで、「ここではこういうことを言ってもいいんだ」と判断してる。だから荒れたスレでは罵詈雑言が飛び交うし、ツイッターの閉じたクラスタではどんどん過激化していく
— スドー🌸 (@stdaux) May 24, 2020
先日、有名人への誹謗中傷が話題になったときにバズっていたツイート。
クラスタ内の閉じられた「世間」が偏っているのにも関わらず「普通」と感じられるようになった時、一部の人はさらに偏った方向へと向かいます。
しかし、似た者同士でフォローしあっている以上外部からの反対意見がストレートに流れてくることはありません。
こうして良くも悪くも段々と考え方は濃縮されていきます。
一番怖いのが、知らず識らずのうちに一見無関係な方向からクラスタに巻き込まれ、無意識的に考え方がクラスタに寄っていってしまったパターン。
「自分はこういう考え方で、だからこういう考えの人をフォローする」という前段階がない分、偏った方向へと向かってしまいやすい可能性があります。
自分の立ち位置は常に再確認しておきたいものです。
クラスタの中にいるメリット
では逆に特定のクラスタの中にいるメリットはどんなものかといえば、得られる情報の量と速度が段違いに高まることが挙げられるでしょう。
情報の拡散速度が早いというTwitterの利点を最大限に受けることができます。
また、趣味あるいは考え方が近いことがわかっている分、相互にリプを送り合いやすいという特徴もあるかと思います。
情報量についてもちょっとした噂話から役立つTipsまで。日々多くの情報をタイムラインを見ているだけで自然と知ることができるようになります。
メリットだけを享受するためには
私は、複数のアカウントを作って別のクラスタを見る機会を日常的に作ることである程度考え方の偏り、世間との意識とのズレを解消できると考えています。
私は良く言えば多趣味、悪く言えば飽き性なので別の趣味に関する複数のアカウントをもっていますが、タイムラインを見比べるとその内容は全く違います。
この事を1度実感できれば、一歩引いた目線でタイムラインの投稿を眺められるようになりました。
また、自分の考え方が以前と比べて良くない方向に変わっていないか見つめ直す機会を持つことも重要だと思います。
まとめ
- クラスタ=近い考えや趣味を持つ集団の意。
- クラスタ内でのタイムライン=世間とはほぼ無関係。
- 内容の偏りは無意識に影響が強化され続けるので、客観的に見つめ直す機会を自分で設ける必要がある。
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